日立製作所、独DFKI と共同でウェアラブルデバイス活用作業支援AI を開発

ドイツ人工知能研究センター（Deutsches Forschungszentrum für Künstliche Intelligenz GmbH: DFKI）と日立製作所は2017年3月8日、ウェアラブルデバイス着用者の作業内容を認識する人工知能（AI）を開発したと発表した。同AI は、眼球の動きを撮影する眼鏡型のデバイスであるアイトラッキンググラスを活用して、生産現場での作業者の動作を認識する技術を組合せ、作業者の行動をリアルタイムに認識する。現場で使用される道具･部品や想定される動作をディープラーニングでAI に学習させることで、データから作業内容を認識することを可能にした。今後、DFKI と日立は、今回開発したAI を作業支援やヒューマンエラー防止に活用し、生産現場の品質向上や効率化を進めたい考えである。

今回開発したAI の特長は次の通り。

1.　アイトラッキンググラス装着者の眼球の動きから注視点データを抽出し、ディープラーニングによる画像認識技術を活用することで、背景や他の物体の写り込みなどの周辺環境に影響されずに「ネジ」や「ドライバ」といった物体を認識できる。

2.　アームバンド型デバイスによって、腕の動きに合せてセンサから出力される筋電位などの微小かつ瞬間的な信号を取得して動作に関わる情報を抽出し、ディープラーニングで学習することで、「回す」「押す」など腕の動きを伴う身体動作を認識できる。

3.　上記1,2 による注視物体と身体動作を組合せて「ネジを締める」「ボタンを押す」といった作業内容を認識する技術である階層型行動モデルを開発した。生産現場で想定する物体と身体運動をそれぞれ個別に事前学習することで、多様な作業を認識できるようになった。