富士電機、独N2社を買収、欧州燃料電池事業を強化

Submitted by Bob Mick on

富士電機は2016年1月13日、欧州子会社の富士電機ヨーロッパ(Fuji Electric Europe GmbH, 本社:オッフェンバッハ: FEE)が、燃料電池の販売・エンジニアリング事業を展開するドイツのN2telligence GmbH (本社:ヴィスマール:N2)の株式の70%を取得したと発表した。買収後の新会社Fuji N2telligence GmbH の残りの30%の株式は、N2telligence の2人の創業者が保有する。

燃料電池は、天然ガス等の燃料を化学反応させることで直接電気を取り出すため、発電過程でのエネルギ・ロスが少なく、低騒音・低振動で高効率な発電が可能である。また燃料電池は発電動作時に空気を排出するが、この空気の酸素濃度は大気に較べて低濃度であることから、この低酸素空気を建物に送り込み、低酸素環境(15%程度)を作り出すことによって、火災の発生を未然防止する防火設備としての活用が可能である。ドイツでは、この燃料電池の特性を活かし、倉庫やインターネット・データセンタ(IDC)における防災対策の1つとして、防火設備の導入が進んでおり、すでに約1,000 システムが設置され、また今後も年率20%の成長が見込まれる。

FEE が買収したN2社は、2006年の設立。「燃料電池の排空気を用いた防火システム」特許の独占的実施権を保有しており、2009年からは富士電機との協業を開始して、大手自動車メーカやIDC 等へ富士電機製の燃料電池を納入している。富士電機は、今回の買収により、ドイツを初めとする欧州市場で、燃料電池事業の強化・拡大を図る。具体的には、N2社の保有する特許実施権、商流に加え、富士電機の技術力を活用して、販売からアフターサービスまでエンジニアリング力を強化する。さらに、現地生産体制を構築し、現地生産によるコストダウンと納期短縮を図る計画である。新会社では、2018年度50億円の売上げを計画する。

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