日立が風力発電システムの保守訓練施設を開設

Submitted by Bob Mick on

日立製作所は2016年4月26日、風力発電システムにおける高度な保守サービスの提供を目的として、日立事業所埠頭工場(茨城県日立市)内の170平方メートルの敷地に、保守点検員向けの訓練専用施設となる日立風力保守トレーニングセンタを、7月に開設すると発表した。同センタは、2MW 風力発電システムのナセル・ハブ、パワーコンディショナなどを訓練専用機として備え、これまで難しかった模擬故障のシミュレーションや、ナセルとハブ間の狭隘スペースへのアクセス、部品交換訓練を行うことができ、講義と組合せて効率よく教育を行うことができる。風力発電システムの保守、点検等に必要とされる高度な技術や幅広い知識を一カ所で取得することができるようになり、効率的な保守点検員の養成、技能向上が可能になる。

同社では、同センタの設立と併せて、高度な技術の取得を目指す契機となるよう、教育カリキュラム修了者に対する社内資格認定制度を設ける。習熟度に応じた資格認定を行うことで、高い技能を持った風力発電システム向け保守点検員を育成し、保守サービスの充実を図る。将来は、日立製のみならず、幅広い風力発電システムの保守が可能な保守点検員の育成も検討し、同センタを拠点に国内の風力発電システム向けの保守点検員の需要増加に応えていく計画である。

国内の風力発電システムは、政府の長期エネルギ需給見通し(エネルギミックス)における再生可能エネルギの比率増の方針を受けて今後も拡大する見通しだが、一方で2015年6月に成立した改正電気事業法では、風力発電システムの定期検査が来年度以降に義務化されることとなっている。これに対応して2020年までに新たに最大2,000人の保守点検員が必要となる見込みで、保守点検員の早急な養成が求められている背景がある。風力発電システムの受注数で国内トップクラスの日立もこれまで約200名の保守点検員を育成しているが、効率的な教育が課題となっていた。