IIoT の活用で効率化を追求するシェル

Submitted by Bob Mick on

石油・ガス生産の操業にIIoT 対応ソリューションを導入しているシェル(Shell)やBP など国際石油メジャー(IOC)の活動を紹介するとき、ARC のアナリストはいつもながら力が入る。原油価格が低迷するこの時期に、石油関連業種のほとんどの人は、どのように技術が生産を向上し、卓越した経営を実現し、また様々な内外のエコシステム間での協働を向上させるのに役立つかといった事例を探しているからだ。先ごろ、シェルは、ナイジェリア(Nigeria)の地方にある油田でモノのインターネット(Internet of Things)を使用してブレークスルーを実現した模様だ。

ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)のプロジェクトは、この西アフリカの国における80カ所以上の油田にIoT 対応のセンサを設置するというもので、これは日量最大60万バレルの原油を生産し、すなわち同国の原油生産能力の21%に相当する。シェルが個々の油井の生産量とパフォーマンスを遠隔監視できれば理想的であるが、これらの油井サイトのほとんどはニジェール川デルタ地帯(Niger Delta)に位置しており、そこは近代的な手段により通行できなくはないが保守や掘削要員の移動を遅らせる。さらに問題なのは、この地域の不揃いなネットワーク基盤に微弱信号に対する地形の影響が重なった。そこでシェルとパートナー企業のアップランド・コンサルティング(Upland Consulting)は、米カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)に本社を置くインジェニュ(Ingenu)によって開発されたランダム位相多重アクセス (RPMA)の名で知られる低出力、長距離伝送のIoT ネットワーク・ソリューションを選択して、多くの伝送の隙間を埋めることにした。

原油生産は数百億ドルの事業規模かもしれないが、これに較べてインジェニュのRPMA センサに対するシェルの投資額は、どれほどのこともなかった。個々のセンサは、450平方マイルの区域内で信号を送受でき、しかも靴箱と同じくらいで既存の構造物に取付けられる小型サイズであった。この結果、シェルがナイジェリアにおける原油生産事業の全域の監視を実現するために支払った額は87,000ドルに収まったのでる。これは同時に現地の人手不足の問題の解消にも役立った。(Tim Shea)

https://industrial-iot.com/2016/04/shell-pumps-less-iiot/