横河電機、英KBC の完全子会社化を完了

Submitted by Bob Mick on

横河電機は、2016年4月8日、英国の石油・ガス産業向けコンサルティング・サービスおよびソフトウエア企業のKBC アドバンスト・テクノロジーズ(KBC Advanced Technologies plc, 本社:サリー州ウォルトン・オン・テムズ)を現地時間2016年4月7日、完全子会社化したと発表した。英国スキーム・オブ・アレンジメントの手法に基づき、4月5日の英国裁判所による最終承認を経て、買収手続きを完了した。KBC の発行済みおよび発行予定普通株式の現金による取得その他に要する合計額(概算)は約308億円(1ポンド=165円換算)。

KBC は、石油・ガス産業のアップストリーム(開発・生産工程)からダウンストリーム(精製工程および精製と連結した石油化学)までを対象に、操業効率向上や収益性改善を実現するソフトウエアとコンサルティング・サービスを提供している。操業の最適化やシミュレーションを行える高度な技術とそれに基づくコンサルティングを強みとして、グローバルに事業を展開しており、代表的な高度ソリューション提供企業として知名度も高い。同社は1978年の設立で300名超の従業員を擁し、英国、米国、シンガポールを主要拠点として、国営石油会社、国際石油資本、独立系石油会社を始めとする顧客基盤を有している。2014年12月期の連結売上高は約7,595万4,000ポンド(約132億3,200万円、 同期における為替レートの平均値を適用)。一方、横河電機は、高信頼の制御システム、生産現場において温度・流量・圧力等を測定するフィールド機器をはじめ、安全で効率的な操業を支援する各種ソリューションを提供している。

今回の買収により、横河電機は、石油・ガスを中心とした産業に向け、経営層向けプレミアム・コンサルティング・サービスおよびソフトウエアから、生産現場向けに制御システムやフィールド機器まで提供する能力を備えたグループとなり、経営レベルから現場レベルまでの顧客に対しワンストップでソリューションを提供することが可能となる。また、KBC が築いてきた強固な顧客基盤も大きな強みとなる。統合の効果を最大限に発揮するために統合検討チームを立上げ、シナジー創出のためのアクションプランの策定と推進を急ぐ。

横河電機は、中期経営計画 Transformation 2017 における制御事業戦略のひとつとして、ソリューションサービス事業の拡大を掲げ、顧客の事業全体を見据えた提案や価値共創の取組みを進めている。同社の計測・制御・情報の技術と、KBC の高度ソリューション技術、また、横河電機が2015年12月に米インダストリアル・エボリューション(Industrial Evolution Inc.)の買収を通じて得たクラウドによるデータ共有サービスの技術を融合することで、新たな価値の創出にも取組み、製造業を中心とした産業向け高度ソリューション分野で、グローバル・リーディング企業となることを目指す。

KBC 買収を巡っては、当初、米アスペン・テクノロジー(Aspen Technology, Inc.)が交渉をリードしていたが、横河電機がアスペンテックのオファーを上回る買収額を提示してこれを成功させた。

ARC アドバイザリ・グループのリサーチ部門VP であるラリー・オブライエン(Larry O'Brien)は次のようにコメントしている。「KBC の専門知は横河電機の大きな資産になるに違いない。これは、同社のプロセス・オートメーション領域におけるこの1年間で2度目の重要な買収であり、Transformation 2017 に示されたコンサルティング・サービス、高度ソリューション事業の構築という同社戦略に沿うものである。KBC は大量の深いプロセス知識とアプリケーションを処理しており、横河電機のプロセス・オートメーション事業はこれを効果的に活用することで、顧客に対してさらに強力な価値を提供できるようになる」(Shin Kai)

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