ARC インダストリ・フォーラム、「技術革新の新時代を先導する」をテーマにパネル討論

Submitted by Bob Mick on

米フロリダ州オーランド(Orlando)で2月8日開幕したARCインダストリ・フォーラムでは、10日、全体集会でIBM ワトソン・ソリューションズ(IBM Watson Solutions)のVP 兼CTO であるロブ・ハイ(Rob High)氏が「コグニティブ・コンピューティングとは何か」と題して基調講演し、これに続いて、同氏とマサチューセッツ工科大学(MIT)情報技術/エンジニアリング・システム教授のスチュアート・マドニック(Stuart Madnick)氏、アルセロール・ミッタル(ArcelorMittal)プロセス・オートメーション部長のマイク・ダジック(Mike Dudzic)氏、インガソル・ランド(Ingersoll Rand)シニアVP 兼CTO のポール・カムティ(Paul Camti)氏、エクソンモービル(ExxonMobil)オートメーション・制御事業部マネジャのキャロル・エイト(Carol Eidt)氏が参加して、「技術革新の新時代を先導する」をテーマにパネル討論を行った。

討論では、IIoT、ビッグデータ等新技術の活用によって、企業全体を情報主導型に変革していくトランスフォーメーションの時代を迎えていることに対して、各企業がこれにどのように取組んでいるか、つながる自己診断型スマート・マシンの活用を進めているか、ロボット、分析技術、オペレータ訓練シミュレータなどへの期待度はどうか、などを巡って、会場参加者も交えて質疑が交わされた。

分科会―モジュラー化の進展

10日午後にはIT/OT 統合、設備パフォーマンス管理(APM)、オペレータ訓練シミュレータ、つながるスマート製品の設計、つながるスマート・ファクトリの将来像、など15の分科会が開かれたが、なかでも「モジュラー化(Modularization)-プロセス・オートメーションの未来を拓く」をテーマにしたセッションが多くの参加者を集めた。

ドイツの化学会社を中心として構成されるユーザ協議会Namur と、機械メーカーが中心のドイツ電気・電子工業連盟ZVEI を代表して、ドレスデン工科大学教授のレオン・ウルバス(Leon Urbas)氏が、ドイツでパイロット・プロジェクトとして進行中のモジュラー型化学・医薬品プラントの現状と競合力評価を発表した。Namur の標準仕様NE148 に規定されたモジュラーオートメーションの仕様要件に適合して構築されたBASF とArkema によるポリマー複合製品製造プラント、Solvay とバイエル(Byer)によるポリマー複合製品および中間材製造プラント、エヴォニク(Evonik)によるアルケン製造プラント、またバイエル/BTS/Invite によるF3標準モジュール・プラントなどの事例を紹介するとともに、現行プラントとの比較評価では競合力が確かめられたことを報告した。

エクソンモービル(ExxonMobil)リサーチ・アンド・エンジニアリング、R&D プログラム・マネジャのスティーブ・バイター(Steve Bitar)氏は、同社が前日発表したDCS に替わる新制御システム開発プロジェクトの内容を、モジュラー化の観点から再論した。質疑応答では、エクソンモービルの新構想は、従来のフィールドバス標準を新規に置き換える計画であること、モジュラー化によって誰がシステムの安定稼働の責任を持つかに関して技術の高度化が解決すると信じていること、セキュアな運用を担保するためのサイバーセキュリティの設計段階からの埋め込みに関しても、技術で克服できると期待していること、2020年に実現を目指す同社のモジュラリティ構想を現実化するには、世界のユーザ企業の同調とサプライヤの理解支援が不可欠であることを明らかにした。(Shin Kai)