2016年度の重電機器国内生産は1.6%増を予想―JEMA 統計

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日本電機工業会(JEMA)はこのほど、重電機器の2015年度の国内生産実績見込みを、3兆7,047億円の前年度実績比5.0%減、2016年度生産見通しを、3兆7,626億円の前年度実績見込み比1.6%増とする統計予測を発表した。重電分野は2015年度にアジアを中心とする新興国経済の減速の影響を受けた。2016年度は国内の電力・民間設備投資が下支えとなることで底堅さが期待される、と見通している。

2015年度の生産実績見込み

重電機器の製品別動向では、発電用原動機は、2013年度、2014年度にアジア向け輸出と国内火力案件が高水準であったのに較べると平均的な水準に留まり、5,632億円、前年度比17.8%減となる見込みである。アジアを中心とした新興国経済の減速や、原油価格が低水準で推移していることによるプロジェクト案件の先送りなどの影響による。

回転電気機械は、交流発電機が発電用原動機の減少の影響を受け、また交流電動機やサーボモータが中国経済や新興国経済の不透明感の影響により減少し、9,200億円、同比11.1%減となる見込みである。静止電気機械器具は、7,931億円、同比3.6%減となるものの、変圧器や太陽光発電設備向けパワーコンディショナを主体とした電力変換装置が中心となり、金額的には高い水準を維持する見込みである。

開閉制御装置は1兆4,285億円、同比5.3%増となる見込みである。内訳では閉鎖型配電装置が2020年東京オリンピック開催を見据えた大都市再開発の動きにより、また監視制御装置では電力向けや製造業向けの伸びにより、ともに増加する見込みである。一方、低圧開閉器は、アジアを中心とした新興国経済の減速の影響を受け、輸出を中心に減少する見込みである。

2016年度の生産見通し

製品別動向では、発電用原動機は、国内電力向け案件が予定されており、生産額は6,103億円、前年度比8.4%増と増加に転じる見通しである。回転電気機械は、9,483億円、同比3.1%増となる見通しである。交流発電機が発電用原動機に連動して増加すること、また交流発電機やサーボモータが中国経済の停滞感が続く中で世界経済の緩やかな回復による需要増を着たいい増加を見ていることがその要因。

静止電気機械器具は、7,848億円、同比1.0%減と前年度をやや下回るものの、引続き高い水準を維持すると見込む。再生可能エネルギ固定価格買取り制度における買取り価格引下げの影響は大きくは現れず、水準を維持すると見込んでいる。開閉制御装置は1兆4,192億円、同比0.7%減と前年度をやや下回ると予想する。

受注形態別の重電機器の見通し

受注生産品と産業用汎用電気機器に分けた受注形態別の生産見通しでは、まず発電用電動機、発電機、大容量変圧器等の受注生産品が2015年度の実績見込みで1兆6,684億円の前年度実績比2.9%減、2016年度見通しでは1兆6,829億円の前年度実績見込み比0.9%増と見込む。

また、汎用インバータ、サーボモータ、プログラマブルコントローラ等を含む産業用汎用電気機器では、2015年度実績見込みが1兆3,360億円の前年度実績比10.5%減、2016年度見通しが、1兆3,697億円の前年度実績見込み比2.5%増と予測する。